自社株引き下げ対策①

Ⅰ.生命保険を上手に活用する

1 生命保険を上手に活用する

利益の繰延べ方法として、保険料の損金算入が可能な生命保険が有効です。 商品の選択肢も多く、金額の設定も容易であり、企業の要望に合致した活用が図られ、結果的に株価引下げの効果が生じます。リスクは保険会社の破綻以外ありませんから安全、確実性が高いといえます。 利益繰延べ商品として主なものに次の四つがあります。

役員、従業員の保障と退職金積立目的の定期保険(全額損金または1/2損金)
役員の保障と退職金積立目的の逓増定期保険(1/2損金)
従業員の福利厚生目的の養老保険(1/2損金)
従業員の福利厚生目的のがん保険(全額損金)

会社が高業績で、キャッシュ・フローに余裕がある場合は、複数の生命保険に加入し、損金計上しながら、内部留保の蓄積を図ります。業績が悪化したとき、または退職金の多額な支出に備えて解約返戻金が手許に戻るからです。その結果として当初株価が他の方法と合わさって大幅に低下しますから、効果のある方策といえるでしょう。

損金性の高い生命保険

 

2  役員・従業員の保障と退職金積立目的の定期保険・逓増定期保険の活用

長期定期保険の長期の定義は定まっていませんが、期中で解約返戻金が相当な額(支払った保険料の60%~100%)が貯まる保険といえるでしょう。この解約返戻金を計画的に考慮して、役員、従業員の生前退職金の原資として活用することにより、無税で積み立てることができるのです。 長期平準定期保険や、逓増定期保険については、保険期間が長期にわたることや、途中解約時の解約返戻金があることから、税法においては、契約内容の違いにより損金処理が異なっています。 また、保険種類や被保険者により、解約返礼率のピークが異なりますので、役員、従業員の生前退職金を目的にする場合は、解約時期をいつにするかを十分に検討し、目的にあった商品選択をする必要があります。

(1) 保険料を損金計上する契約形態

契約者 法人
被保険者 役員または従業員
死亡保険金受取人 法人
(2) 契約内容による保険料の損金計上

保険契約の満了時の被保険者の年齢が70歳以下 毎期全額損金処理
(被保険者の加入時の年齢)+保険期間×2≦105の場合
(被保険者の加入時の年齢)+保険期間×2>105の場合
保険期間の当初の の期間の保険料
毎期損金処理
は前払金)
保険期間の残りのの期間の保険料+前払保険料の計上額を残りの期間に応じて毎期均等に取り崩して損金計上する。 毎期全額損金処理

前払金取崩保険料

例)

50歳で75歳満了の定期保険加入
50歳+25年(75歳-50歳)×2=100≦105……全額損金
50歳で80歳満了の定期保険加入
50歳+30年(80歳-50歳)×2=110>105……損金

 

3  従業員の養老保険による保険料の1/2損金の活用

一定期間内に被保険者が、死亡した場合には、死亡保険金が支払われ、また、満期になった場合には満期保険金が支払われる保険です。 貯蓄性の高い保険であり、通常は全額積立金処理となりますが、一定の要件を満たす場合には、保険料の1/2が損金に算入できます。従業員の福利厚生を主目的としながら、退職金の準備資金と利益の繰延べを図ることができます。

 

(1) 保険料を損金計上する契約形態

契約者 法人
被保険者 従業員(役員も可)
死亡保険金受取人 従業員(役員)の遺族
満期保険金受取人 法人
(2) 加入の条件(恣意性のない普遍的加入)

従業員、役員が全員加入すること。
入社後◯年以上の社員は全員加入すること。過去の疾病により止むを得ない合理的な理由により、加入できない人がいる場合は認められると思われます。ただし、加入者の大部分が同族関係者であれば損金算入が認められない可能性があります。
保険金、保険料を退職給与規程等により合理的に算出して加入する等の計算根拠が必要です。
(3) 福利厚生規程の作成
死亡保険金の受取人は、役員、従業員の遺族になるので、この保険契約による福利厚生制度の確立のための福利厚生規程の作成が必要です。

 

4  従業員の福利厚生を目的としたがん保険による全額損金の活用

(1)従業員の福利厚生

がん保険は、被保険者ががんになったときの保障を目的として、入院、手術、退院、死亡等の給付金が支払われる保険です。 がん保険は、一般的には10年更新のものと、終身保障のものがあります。短期払いのがん保険については、105歳満了と仮定して計算した保険期間を払込期間で按分して損金の計算を行いますから、全額損金処理にはなりません(平成13年8月10日個別通達)。したがって、契約は終身保障の終身払込みのものを選択します。 がん保険は、従業員の福利厚生が目的ですから、法人が契約者として給付金の受取りは従業員とするのが多いようです。従業員が直接受け取る給付金は、税務上は非課税となります。

 

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