自社株の問題が心配である

Ⅰ.なぜ、自社株の株価は高いのか

1 株式の評価方法の仕組み

(1)中小会社の株価計算の仕組み
中小会社の取引相場のない株式の株価計算は、大きく分けて二つになります。一つは、相続、贈与などで取得した株主が同族株主の場合です。
同族会社の株式の評価は原則として会社の業績や資産の内容を株価に反映させる原則的評価方法の「類似業種比準価額方式」または「純資産価額方式」であり、この二つの方式の「併用方式」になります。
もう一つは、同族株主以外の少数株主で、ほとんど配当を受ける権利のみ株主ですから会社の配当金額によって株価が計算される「配当還元価額方式」によります。

 

類似業種比準価額方式株価の計算式
純資産価額方式株価の計算式
42%は会社が仮に精算するとしたときの法人税、住民税、事業税の合計税率。
評価差額(含み益)から納税した残余財産が会社の資産になるため。解 説

 

2  取引相場のない株式についての評価方法

次に、オーナーの会社の規模を判定し、会社の規模別の評価方法が決まります。会社の規模は業種別に「大会社」「中会社の大」「中会社の中」「中会社の小」「小会社」に区分されます。

「総資産価額と従業員数」基準と、取引金額基準のいずれか低い基準が、その会社の会社規模となります。

(1)会社規模の区分

 

卸売業
(小売・サービス業以外)
総資産価額と従業員数 取引金額
大会社 10億円以上 かつ50人超 20億円以上
中会社 (大) 7億円以上 かつ50人超 14億円以上 20億円未満
(中) 4億円以上 かつ30人超 7億円以上 14億円未満
(小) 5,000万円以上かつ5人超 8,000万円以上7億円未満
小会社 5,000万円未満または5人以下 8,000万円未満

 

卸売業 総資産価額と従業員数 取引金額
大会社 20億円以上 かつ50人超 80億円以上
中会社 (大) 14億円以上 かつ50人超 50億円以上80億円未満
(中) 7億円以上 かつ30人超 25億円以上50億円未満
(小) 7,000万円以上かつ5人超 2億円以上25億円未満
小会社 7,000万円未満または5人以下 2億円未満

 

小売・サービス業 総資産価額と従業員数 取引金額
大会社 10億円以上 かつ50人超 20億円以上
中会社 (大) 7億円以上 かつ50人超 12億円以上20億円未満
(中) 4億円以上 かつ30人超 6 億円以上20億円未満
(小) 4,000万円以上かつ5人超 6,000万円以上6億円未満
小会社 4,000万円未満または5人以下 6,000万円未満

 

注1  従業員数が100名以上の場合は、すべて「大会社」に区分される。
注2  「総資産価額と従業員数」と「取引金額」で区分が異なる場合は、いずれか上位の区分により判定する。

 

(2)中小会社株式の評価方法の概要

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Ⅱ.株価を引き下げる方法

1  類似業種株価を引き下げる方法

類似業種株価は、自社と類似する公開企業の次の要素により決まります。

 業種一株あたりの配当金額一株あたりの利益金額一株あたりの簿価純資産価額

また、これらの要素のうち、自社の配当金、利益金額、簿価純資産価額は、低ければ低いほど、株価の評価は下がることとなります。
従いまして、類似業種株価を引き下げるには、基本的に次の方針で対策を行います。

(1)配当金を引下げる
配当金を引き下げる又は配当を行わないことにより、株価を引き下げます。
株価評価の対象となる配当金は、経常的な配当に限られるため、どうしても、配当しなければならない場合には、記念配当、特別配当の名目で行うこととなります。

(2)利益金額を引下げる
類似業種株価の計算において、最もウェイトが高い要素が利益金額です。従いまして、利益を引下げることが、最も有効な方法となります。
具体的な利益の引下げ方法は後述します。

(3)簿価純資産を引下げる
簿価純資産を引下げるために有効な方法は、含み損の出ている資産の売却や、不良債権の貸倒の実施です。
これにより、簿価で評価されている資産が、売却や貸倒により減少し、結果として株価の引き下げに繋がります。

2  純資産株価を引き下げる方法

純資産価額方式における株価は、相続税評価を行った純資産と、発行済み株式数によって決まります。

(1)相続税評価を行った純資産を減らす
ポイントは、土地や有価証券の含み益となります。これらの資産の相続税評価を下げることにより株価引下げにつながります。

(2)株式数を増やす
純資産株価については、相続税評価を行った純資産を、発行済株式数で割って計算します。従いまして、株式数が増加すると、株価は下がります。
ただし、株式数を増やすために、第三者割当増資を行う場合には、発行価額によっては、みなし配当等が発生ずる可能性がありますので、注意が必要です。

3  会社規模を変更する

前述のとおり、株価は、会社規模に応じて類似業種比準株価と純資産株価の併用方式により計算されます。会社規模が大会社に近づくほどに類似業比準株価の割合が大きくなります。
仮に、純資産株価が類似業種株価を上回っている場合には、会社規模を大きくして類似業種株価のウェイトを大きくすることにより株価を低くすることが出来ます。

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