相続税対策を考えたい
(経営承継円滑化法の活用)

Ⅰ 自社株対策はなぜ必要か

1.自社株対策はなぜ必要か

自社株対策はなぜ必要か

オーナー経営者は、払込資本金の株式の大部分を所有しているケースがほとんどですから、会社の株式の株価が高額になっている優良な会社の場合は、さまざまな問題が生じることになります。 オーナーの会社の払込資本金が「2,000万円」で、発行済株式総数を「4万株」として、1株当たりの相続税評価額が「3万5,000円」としますと、オーナーが100%所有している場合の自社株式の財産額は「14億円」(3万5,000円×4万株)になります。 その他に、オーナーの個人所有の不動産や自宅の土地建物、生命保険金、有価証券、退職金を含む現預金もありますから、相続税の税額は相当な額になるはずです。 なお、相続税の計算上、一次相続(本人と仮定)で配偶者がいる場合において、配偶者の相続した財産が、全相続財産の 以内であれば、配偶者の税額軽減の特例によって、無税になる措置があります。しかし、いずれ近い将来に二次相続(配偶者の相続)が生じますから、相続税負担の考え方は、一次、二次相続の総額で考えなければなりません。

2 相続税の負担額の問題

(わかりやすくするために相続人は子3人のみとします。) 自社株財産額14億円とその他の財産額7億円として、相続税を計算しますと、約10億円の税負担となります。

3 遺産分割の問題

相続財産の分配は、遺言書がない場合は法定相続分による遺産分けになります。しかし、通常は相続人間の話し合いによる「遺産分割協議書」が作成され、分配を決めるケースが多いようです。 ただし、遺産の配分額は「時価」によって配分額を決めますから、相続税評価額と異なってきます。 自社株財産額の時価16億円、その他の財産額の時価8億円の合計額24億円を子3人で法定割合の ずつ相続しますと、後継者(長男と仮定)は、自社株式8億円しか相続できません。他の2人の相続人が自社株式8億円と他の相続財産8億円を相続しますと、後継者が会社の株式の50%しか所有できず、例えば次男(会社とは無関係と仮定)が50%を所有してしまうことになり、将来に問題が生じる原因となりかねません。

4 後継者の財産は、自社株のみになる問題 

後継者名義の自宅や工場土地等の不動産もなく、他の兄弟の所有になってしまいますと、代表者としての個人保証の信用力が大きく低下してしまいます。 さらに、不動産を金融機関や取引先に担保提供している場合には、他の兄弟が今後も担保提供に応じてくれるかどうかの問題もあります。 兄弟間でトラブルにでもなりますと、会社の経営基盤の問題に発展してしまう可能性もあります。

5 相続税の納税資金問題

相続税が多額になってしまいますと、退職金や生命保険金を含む金融財産のみでは相続税の納税資金が不足するケースが生じてきます。 オーナーの方々は、高額な生命保険金や、退職金を準備しているからと安心されている場合が多いようですが、自社株財産は、毎年増加していることに計算が及んでいません。したがって、自社株の株価が高い会社の場合には、二次相続まで入れますと、相続税の納税資金がたいてい不足しています。 結果として、納税資金の調達は、持株会社や本体会社への株式の売却か、会社からの借入金によらざるを得ません(物納は実質的に不可能です)。したがって、いずれにしても会社の資金負担が増大することになります。

6 会社の資金負担の問題 

相続税の納税資金の調達のため、後継者からの自社株の買取資金、または貸付金による現預金の流出が大きくなります。会社の剰余金等の内部留保金が多額であっても、すべて現預金で残留しておらず、ほとんどが設備資金や棚卸資産などの資産に費消されていますから、資金の調達は金融機関等からの借入れによるケースが多くなります。 後継者は、会社の承継時から過大な負債が増加した状態で経営することになってしまいます。 少しでも売上の低下などが起こりますと、借入金の金利負担の増加によって利益が減少しているうえに、さらに利益率の減少が生じ、資金繰りも悪化し、さらには信用力の低下に繋がることもあります。そして経営が不安定になってしまいます。そうなりますと、ますます後継者の心の負担が大きくなり、経営意欲に影響を及ぼす結果となって、事業と会社の承継が順調に進まなくなってしまいます。

7 自社株式の対策と解決

このように相続財産中に占める自社株式の比重が大きくかつ多額な評価になっていますと、相続税の負担が大きいばかりではなく、その納税問題で会社に過酷な負担が生じてしまいます。 従いまして、自社株を相続財産に含めない対策を行うことが重要となります。 もし、この問題への対策をすでにすませ、相続財産に含めずに相続税を計算してみますと、次のような遺産の内容になり、相続税の総額も大きく減少します。 自社株式の対策と解決

遺言書によって後継者である長男に、工場等の土地(時価3億円)と自宅の土地建物(時価1億円)を相続させても、他の相続人の遺留分は侵害しませんし(8億円 × 1/3 × 1/2)、長男の納税額は8,500万円(1億9,700万円 × 3億円 / 7億円)となり会社への売却額も1億円のみであり、会社の資金負担も少額で済みます。 さらに、次男と長女は、金融財産の相続のみですから、当然納税も可能となります。

Ⅱ 生前贈与による自社株対策

1株価の引き下げを実行する

事例

・株式の時価純資産価額
・株式の相続税評価額の純資産価額
・株式の相続税評価額の類似業種比準価額
・株式の対策後の類似業種比準価額
・オーナー所有株式数
70,000円
60,000円
50,000円
10,000円
4万株

贈与税の計算は、同族会社株式の相続税評価額ですから、譲渡した株式の会社規模の判定によって決定されます。事例のケースで会社規模が大会社の場合は10,000円となります。(引下げの対策については後述します。)

小会社の場合は、60,000円×0.5+10,000円×0.5=35,000円、

中会社の中では、60,000円×0.25+10,000円×0.75=22,500円 となります。

2オーナーの相続人等への移譲は贈与を基本とする

前項等で検討してきましたように株価対策を行いますと、オーナーの所有する株式の相続税評価額は、時価に比して著しく低額になっています。 よって、相続税評価額として確定されている贈与によって相続人等へ移転することにします。

事例のケースで、オーナーの所有する株式のうち2万株を贈与しますと

    贈与額

=10,000円×2万株=2億円(贈与者1人の場合)

贈与税額

=(2億円-110万円)×50%-225万円 =9,270万円となります。
※相続時精算課税の適用の検討(後述)

この贈与時での対策前の相続税評価額は、会社規模が大会社としますと50,000円ですから、相続税額は次のようになります(将来の相続税ではさらに高額になるケースが多いでしょう)。

相続財産額 =50,000円×2万株=10億円(2万株は対策により減少しているとする。)
相続税額 =10億円×50%-4,700万円=4億5,300万円(相続人の子1人とし、控除額等は他の財産より差し引いたものとする。)

 

3  相続人等の贈与税は、株式を売却して支払う

オーナーより、株式の贈与を受けた後継者、相続人等は、翌年贈与税の申告書を提出し、贈与税を支払わなければなりません。 相当高額な贈与税ですから容易に準備できる金額ではありませんので、いったん、会社から借入れで賄うことにします。そして、将来贈与を受けた株式の一部を会社に売却して、借入金を返済することになります。 売却先の会社は本体会社以外の会社になります。本体会社への売却は「自己株式」となり、資本等に相当する価額を超える金額は、「みなし配当」として所得税が課税され、最高税率50%になる場合が多くなってしまうからです。ただし、「配当控除」があるので課税率は約43.6%になります。 そこで、株式の通常の売買になる本体会社以外の会社にします、別会社がないときは、持株会社として新たに設立することになります。 1株当たりの売却価額は売却先が法人ですから当然「時価」となります。

4 相続時精算課税制度の活用

平成15年度改正により、贈与税の特例制度として新設されました。この制度は、受贈者の選択により、暦年贈与課税制度と当制度のいずれかを選択できます。

この制度は、生前贈与財産について、2,500万円の特別控除までが非課税とし、越える部分について、20%の定率で贈与税の課税とし、相続開始後、その贈与者の相続のときに、この制度を利用した贈与財産を相続財産に加算して相続税の課税がされます。ただし、贈与時に支払った贈与税は相続税から差し引かれます。したがって、この制度の贈与税は相続税の前払いといえるでしょう。

(1)相続時精算課税制度の概要(抜粋)

 贈与年の1月1日において満65歳以上の贈与者(親)から同日において満20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)である者への贈与とされます。(相21の9)

 この制度を一度選択しますと撤回できません。したがって翌年100万円の贈与を行っても20%の税率による20万円の課税となります。

 相続時に加算して精算される価額は、贈与時の時価とされます。

 なお、この制度を利用した財産中の小規模宅地の特例は適用できません。ただし事業用財産の特例は適用されます。

(2)本制度のメリット

① 先行贈与した贈与財産価格が相続時に上昇していても、贈与時の価格で相続税の清算がなされるため、上昇分は課税されないことになります。

 特に、オーナー経営者(未上場会社)の自社株は、今後の日本経済の動向が上昇気味としますと、土地の含み益の増加や、上場類似会社の株価上昇により評価が高くなることが見込まれます。

 このように考えますと、株価が低い間や、低くなった時点でこの制度を活用して生前贈与することが得策となります。

② 贈与財産が投資不動産(アパート、マンション等)や高配当の株式等であれば、その収益は推定相続人が収受することになります。

 相続財産に合算されるのは、元本資本のみですから、収益はすべて受贈者のものになります。

 将来の相続税の納税資金の準備や生命保険金、投資運用による財産保全のための資金が直接相続人に取得可能となります。

(3)本制度のデメリット

① 暦年贈与の基礎控除非課税枠(110万円)が利用できなくなり、すべて相続財産に加算されます。

 したがって、贈与のつど課税が完了して、贈与税と関係なくしたい場合は、その選択を慎重にしなければなりません。

 例えば、年110万円ずつの贈与を10年間行った場合は1,100万円が非課税のまま贈与できることになります。

相続時に贈与時の価額で加算されるということは、贈与の時よりも値下がりする財産は不利になります。  

 例えば、建物などは長期間を経ると老朽化して、価値がないにもかかわらず、贈与時の価格で贈与税の課税対象となるからです。

 

Ⅲ 納税資金確保対策

1保険料の贈与による納税資金対策

(1)受取保険金の一時所得課税

相続発生時に相続人(子)が受け取る保険金は一時所得になります。

受取保険金 課   税 税   額
相続人(子) 一時所得 所得税等

一時所得の算式

(受取保険金-支払保険料-50万円)×

(2)相続人等(子、孫)への贈与金額

オーナーが相続人(子)に贈与する金額は、贈与税の非課税金額の範囲である年間110万円以下で行なうことも考えられますが、オーナーの年齢が高いケースがほとんどですから、より効果的にするには多少の贈与税を支払っても、相当高額な保険料を支払い実行されるとよいでしょう。 例えば、変額保険(終身型)の加入でみてみますと、

 70歳のオーナーで、相続人が年払保険料250万円を支払い、10年後に相続が発生した場合で、保険金額は3,700万円とします。

 一時所得の計算は (3,700万円-2,500万円-50万円)×=575万円

③ 一時所得税等は約290万円

④ 相続人(子)の手取額は

 保険金額3,700万円-所得税290万円=約3,410万円

 となります

 

2 収益不動産の購入

(1)株式会社の設立と不動産の購入

オーナーは現金2億円を出資して株式会社を設立します。

 払込資本金は1億円とし、1億円は資本準備金とします(会社法により可能です)。また資本金を減資して、小さくすることも可能です。

借  方 貸  方
預   金 2億円 資 本 金
資本準備金
1億円
1億円

 会社は2億円の借入れを行い、4億円で収益不動産(賃貸ビル、マンション等)を購入します。

借  方 貸  方
土   地
建   物
2億円
2億円
借 入 金
資 本 金
資本準備金
2億円
1億円
1億円
合   計 4億円 合   計 4億円

イ)借入金は3年間元本据置きとします。

ロ)本件のように自己資金が50%もある物件では、諸経費を差し引いても利益が生じます。

よって後継者を代表者にし、他の相続人も役員に就任して、役員報酬を収受し、納税資金の準備金とします。

ハ)株式会社の3年後の年間収支例

借入金返済
支払利子
役員報酬等
1,000万円
400万円
1,000万円
家賃収入 2,400万円
合   計 2,400万円 合   計 2,400万円

・ 家賃収入はネット(諸経費差引後)利回り6%とします。

・ 借入金の返済は元本据置き後20年払いとなります。

・ 借入金の金利は年利2%とします。

  (2)株式会社の株式の評価

不動産取得の3年後に株式会社の株式の評価が下がります。

土地の相続税評価額

借地権割合70%、借家権割合30%の地域とし、路線価等の相続税評価額が、1億8,000万円になります。

18,000万円×(1-70%×30%)=14,220万円

建物の相続税評価額建物の固定資産税評価額が1億2,000万円(時価の60%~70%がおおよその固定資産税評価額になっている)としますと8,400万円になります。(借家権割合30%)

12,000万円×(1-30%)=8,400万円=14,220万円

不動産所得の3年後の相続税評価額による株式会社の純資産価額

土  地
建  物
14,220万円
8,400万円
借入金
(純資産)
20,000万円
( 2,620万円)

 

※ 3年間の利益金による剰余金の増加はないものとする。

このように当初のオーナーの株式出資の額2億円が3年後には2,620万円に下がることになります

(3)株式の相続人等への贈与

株式会社の下がった株式を後継者等の相続人に贈与することが可能です。

株式を後継者に1,200万円、他の相続人2人に各々710万円ずつ贈与しますと、各人の贈与税は次のようになります。

後継者

(1,200万円-110万円)×50%-225万円=320万円

他の相続人(一人当たり)

(710万円-110万円)×40%-125万円=115万円
 

3 自己株式の消却による納税資金の準備

事 例

・発行済株式数 10万株(@500)
・株 価
・類似業種株価 348円(仮)
・支払配当金 無配(前期無配)
・当期利益金額 5,000万円(前期5,500万円)
・発行済株式数 10万株(@500)
・簿価純資産価額 22億円
・ 株 価

(1)類似業種比準価額

①持株会社の保有する自己株式を1株当たりの時価40,000円で2万株を買い入れます。

資本金等  0.1億円
利益積立金 7.9億円
現金   8億円

 

イ) 1株当たりの簿価純資産価額
ロ) 自己株式取得後の株価(前提条件は同じとする。)

※ 株価は6%減価する。

 上記の例で時価20,000円で4万株の自己株式の取得とすると、1株当たりの簿価純資産は、

  となり株価は7,917円となりますから、逆に25%高くなってしまいます(計算省略。)

(2)純資産価額の事例

持株会社の保有する自己株式を1株当たりの時価40,000円で2万株買い入れます。

・資産50億円-現金8億円=42億円
・資産50億円-現金8億円=42億円10万株(@500)
・発行済株式数10万株-自己株式数2万株=8万株
・自己株式取得後の純資産価額

上記の例で1株当たりの時価20,000円、4万株の買入れとします。

 となり、株価は逆に6%高くなります。

 

Ⅳ 経営承継円滑化法~遺留分に関する民法特例の活用~

1遺留分に関する民法の特例の概要

この特例は、民法に定められている「遺留分」に関する特例です。 遺留分とは、簡単に言いますと、相続における遺産分割の際に、最低限財産を相続することができる権利を言います。 中小企業の経営を円滑に承継するための要素の一つに、議決権(株式)の承継があります。議決権は、後継者が相続するのが円滑な事業承継には最も望ましい形です。しかし、中小企業のオーナーの中には、事業に関係する資産(株式や事業用不動産等)が、財産の大半を占めている場合があり、遺留分の規定により後継者に十分に財産を相続できなくなる可能性があります。 そこで、経営承継円滑化法においては、遺留分の規定に一定の特例を設けることにより後継者への円滑な事業用資産の相続を支援することとなりました。

2遺留分とは

(1)遺留分とは

前述しましたように、遺留分とは、相続における遺産分割の際に、最低限遺産を相続することができる権利を言います。 自分の財産は自由に処分できるものとされており、それは生前に限らず、死んだ後でも同じと考えられています。死後の場合には、遺言という方法により財産の処分を指示することが出来ます。 しかし、「全財産を親族以外の人に相続する」という遺言があったらどうなるでしょうか。残された遺族は住む家や他の財産の全てを奪われ、その後の生活に大きな支障をきたす可能性があります。 そこで、民法ではこのような事態を回避するために、遺留分として最低限相続できる権利を定めているのです。

(2)遺留分の権利者

遺留分を有する者は、原則として法定相続人ですが、兄弟姉妹及びその子(甥・姪)は除かれます。

(3)遺留分の比率

遺留分は、原則として法定相続分の2分の1となっています。ただし、父母、祖父母等の直系尊属の場合には3分の1となっています。

(4)遺留分の計算の基礎となる財産の範囲

遺留分の計算の基礎となる財産については、死亡時に所有していた財産だけではありません。 民法では、以下の財産から債務を控除した金額が、遺留分算定の基礎財産とされています。

相続開始時の財産  相続開始前1年間に行われた贈与  特別受益

特別受益とは

相続人に対する贈与で、婚姻、養子縁組、生計の資本としてなされた贈与とされており、これらに該当する場合には、何年前の贈与でも、期間の制限なく、遺留分算定の基礎財産に含まれます。

事業用資産の贈与については、生計の資本としてなされた贈与と考えられ、何年前の贈与でも遺留分算定の基礎財産に含まれます。

(5)遺留分算定の基礎財産の価額

遺留分の算定をするには、前述の財産の範囲の他に、その評価額が重要となります。

民法においては、評価額は、贈与時ではなく相続開始時とされています。つまり、過去の贈与等により取得した財産についても、贈与時の価額ではなく相続開始時の価額となり、大きく変動している可能性があるのです。

例えば、10年前に後継者である息子に1,000万円で贈与をした株式が、息子の努力により業績が向上し、相続開始時に1億円となっていた場合には、1億円が遺留分算定の基礎財産となってしまうのです。現在の規定では、贈与後の息子の企業貢献による価値の増加については、一切、考慮されないこととなっています。

具体例

10年前に1,000万円で株式を贈与

10年後に相続発生。相続人は子供3名。相続財産は2,000万円の現金のみ

1,000万円の株式は1億円に価値が増加している

遺留分算定の基礎財産価額  2,000万円+1億円=1億2,000万円

子供3名の遺留分金額    1億2,000万円×1/3×1/2=2,000万円

結論 後継者以外の子供2名で4,000万円の遺留分があり、株式の贈与は結果として遺留分を侵害していることとなる。

3適用要件

(1)対象となる中小企業

経営承継円滑化法における中小企業者は第2条において次のように規定されています。

資本金 従業員数
製造業・その他業種 3億円以下 または 300人以下
卸売業 1億円以下 または 100人以下
小売業 5,000万円以下 または  50人以下
サービス業 5,000万円以下 または 100人以下

また、特例として下記の業種については、その範囲が拡大されています。

資本金 従業員数
ゴム製品製造業 ※1 3億円以下 または 900人以下
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円以下 または 300人以下
旅館業 5,000万円以下 または 200人以下

※1 自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く

(2)特例を受けるための要件

今回の特例については、「一定の特例中小企業者の旧代表者から後継者へ議決権のある株式を贈与した」ことが大前提の要件となっています。

一定の特例中小企業者特例中小企業者とは上記の業種ごとに定められた要件を満たしている会社をいいます。ただし、3年以上継続して事業を行っており、株式を上場や店頭公開していないことが要件となります。
旧代表者の要件贈与等をする旧代表者については、経営承継円滑化法において、特例中小企業者の代表者であった者(現代表者である者を含む)で、推定相続人のうち少なくとも1人に対して特例中小会社の株式等の贈与をした者とされています。
後継者である推定相続人の要件後継者については、旧代表者の推定相続人のうち、旧代表者等から特例中小企業者の株式等の贈与等を受けた者であって、議決権等の過半数を有し、特例中小企業者の代表者をいいます。すなわち、相続が発生する前に、旧代表者は、あらかじめ後継者に株式等の贈与をしており、且つ後継者が過半数を有していなければならないということになります。過半数については、贈与にて取得した株式のみならず、その後継者が所有している株式全部で判断します。 ただし、この贈与等を受けた株式等を除いても、後継者が議決権の過半数を有している場合には、この規定の適用はありません。これは、既に過半数の議決権を有しているために、遺留分により株式等の取得が出来なくても、会社の経営権に大きな影響を及ぼさないという趣旨から除外されています。後継者については、1社1名が原則となっています。従いまして、兄弟2名での共同経営であっても、この特例の適用を受けることができる後継者は1名のみとなります。ただし、旧代表者が複数の会社を経営している場合には、それぞれの会社で1社1名となります。
4民法の特例により合意できる内容

今回の特例では、遺留分の規定にかかわらず、大きく分けて次の3点について、合意することが出来るようになりました。

(1)後継者が贈与を受けた株式に関する定め
(2)後継者が贈与を受けた株式以外の財産に関する定め
(3)後継者以外の推定相続人が贈与を受けた財産に関する定め

(1)後継者が贈与等を受けた株式等に関する定め

これらの株式の取扱いですが、2通りが想定されています。一つは、これらの株式を遺留分の算定の基礎財産に含めないということ(除外合意)、もう一つは、基礎財産に含めるが含める金額をこの合意があった時点の価額とすること(固定合意)です。

除外合意除外合意とは、後継者が旧代表者から贈与により取得した株式については、遺留分算定の基礎財産に含めないとする合意です。前述のとおり、後継者が贈与により取得した株式は、生計の資本となりますので、本来は遺留分の算定の基礎財産に含めなければなりません。しかし、この合意をすることにより、基礎財産から除外されるため、基礎財産の総額が減少し、結果として遺留分の額も減少します。なお、除外合意については、結果として後継者が議決権総数の過半数を確保できる合意でなければなりません。
固定合意固定合意とは、後継者が旧代表者から贈与により取得した株式については、遺留分算定の基礎財産には含めるが、その価額を固定しようとする合意です。これは、金額を固定することにより後継者の企業貢献を遺留分に反映させないことを目的としています。なお、固定合意についても、除外合意と同様に結果として後継者が議決権総数の過半数を確保できる合意でなければなりません。固定合意の場合には、その価額が問題となります。経営承継円滑化法では、合意時の価額については、弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人が相当な価額として証明したものに限るとされており、専門家が証明した価額となります。
付随して定める事項除外合意又は固定合意がされた場合には、付随して定めなければならない事項があります。次のような事由が発生した場合の定めについての合意も必要となります。後継者が合意の対象とした株式を処分した場合旧代表者の生存中に、後継者が代表者として経営に従事しなくなった場合これらの場合に、推定相続人がとることが出来る措置について、定めなければなりません。具体的には次のような内容が考えられます。合意を解除する(解除して新たな合意を行う) 売却代金の一部を他の推定相続人に支払う特に何もしない(合意を継続する)等

(2)後継者が贈与を受けた株式以外の財産に関する定め

後継者が旧代表者から贈与を受けるのは株式だけとは限りません。当然、他の財産(例えば工場用の土地・建物等)の贈与を受けることも考えられます。その財産が遺留分に含まれると結果として株式を十分に相続できない可能性がありますので、後継者が旧代表者から贈与をうけた株式以外の財産についても、一定の合意を認めています。

なお、この合意については、除外合意又は固定合意と併せて行うことが要件となっています。また、条文上では、これらの株式以外の財産については、除外合意のみ規定されており、固定合意はありません。

(3)後継者以外の推定相続人が贈与を受けた財産に関する定め

先述のとおり、この特例は株式(経営権)のスムーズな承継が目的とされていますので、後継者が贈与を受けた財産に関する規定が中心です。しかし、これだけでは逆に後継者以外の推定相続人が大きな不利益を被る可能性があります。そこで、後継者以外の推定相続人が旧代表者から贈与を受けた財産についても、一定の合意を認めています。

なお、この合意についても(2)と同様に、除外合意又は固定合意と併せて行うことが要件となっており、条文上では、これらの株式以外の財産については、除外合意のみ規定されており、固定合意はありません。

結果として、(1)から(3)までの合意を全て行うことにより、遺留分算定の基礎財産から特別受益の全てを除外することが可能となります。

5特例の適用を受けるための具体的手続き

この特例を受けるためには次の3つの手続きが必要となります。

(1)推定相続人全員による合意(2)経済産業大臣の確認(3)家庭裁判所の許可

(1)推定相続人全員による合意

今回の遺留分の特例を受けるための最初のステップとしては、旧代表者の推定相続人全員の合意を受けることです。合意については書面を作成する必要があります。

(2)経済産業大臣の確認

上記(1)の合意がされた場合には、後継者は合意から1ヶ月以内に、経済産業大臣に確認の申請を行います。 確認の内容は次のとおりです。

(1)により合意された事項
(1)の合意が、その特例中小企業者の経営の承継の円滑化を図るためにされたものであること
申請をした者が合意をした日において後継者であったこと。
合意をした日においてその後継者が所有する株式等のうち、その合意の対象となった株式等に係る議決権等が総議決権等の100分の50以下であること。

経済産業大臣の確認申請書類は次のとおりです。

合意の書面(実印押印)及び印鑑証明
固定合意の場合の評価証明書
合意時の定款の写し、3ヶ月以内の登記事項証明書
合意時におけるか会社の従業員数の証明する書類
合意日の属する事業年度の直前3事業年度の決算書
会社が上場会社等に該当しない旨の誓約書
旧代表者が、合意時において代表者でないときは、代表者であったことが記載されている登記事項証明書
合意時における推定相続人の全てを明らかにする戸籍謄本等
合意時における株主名簿の写し
その他一定の書類

(3)家庭裁判所の許可

(2)の確認を受けた場合には、後継者は、その確認を受けた日から1ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てを行い、その許可を受けた場合にその効力が生じることとなります。

6合意の効力の消滅

家庭裁判所の許可を受けた後でも、次のような事由が生じたときには、その効力が失われます。

(1)経済産業大臣の確認が取り消されたこと
(2)旧代表者の生存中に後継者が死亡し、又は後見開始若しくは補佐開始の審判を受けたこと
(3)その合意の当事者以外の者が新たに旧代表者の推定相続人となったこと
(4)その合意の当事者の代襲者が旧代表者の養子となったこと

(1)経済産業大臣の確認が取り消されたこと

経済産業大臣の確認が重要要件の一つとなっていますので、確認が取り消された場合には、合意の効力は失われます。

(2)旧代表者の生存中に後継者が死亡し、又は後見開始若しくは補佐開始の審判を受けたこと

旧代表者の生存中に後継者が死亡等した場合には、事業承継が不可能となり、この後継者のための合意を維持する必要がなくなるために、効力が失われます。

(3)その合意の当事者以外の者が新たに旧代表者の推定相続人となったこと

旧代表者が再婚したり、新たに子どもが生まれた場合には、推定相続人が増加した場合にも、合意の効力は失われます。 これは、この合意が推定相続人全員の合意が前提となっているため、新たな推定相続人の増加により、全員の要件を満たさなくなるためです。

(4)その合意の当事者の代襲者が旧代表者の養子となったこと

これについても、養子となることで、相続人の資格を有することから、(3)と同様に推定相続人全員の合意を満たさなくなるために、効力が失効されます。

Ⅴ 経営承継円滑化法 ~相続税の納税猶予制度の活用

1相続税の納税猶予制度の概要

 相続に伴う、株式等の承継による相続税の負担を軽減するために、代表者であった被相続人の所有する会社の株式等を後継者である相続人が相続した場合、その相続した議決権株式等の評価額の80%に対応する相続税の納税が猶予される制度が設けられました。 この制度は、平成20年10月1日以後の相続に遡って適用されます。

2対象となる中小企業等の要件

(1)会社規模・業種等に関する要件

対象となる会社は、前章の民法特例と同じですが、下記の条件に該当する会社については、対象外となります。

風俗営業会社
資産保有型会社(有価証券・不動産等の資産が総資産の70%以上)
資産運用型会社(資産運用による収入が総収入の70%以上)
直近の事業年度における総収入金額がゼロの会社
常時使用する従業員の数がゼロの会社
特別子会社が大法人等又は風俗営業会社である会社
拒否権付種類株式(黄金株)を発行している場合にはその株式を経営承継相続人以外が保有していない場合
一定の現物出資等資産の割合が70%以上の会社

(2)経済産業大臣の認定を受けた会社であること

原則的な取扱い

相続税の納税猶予制度の適用をうけるためには、相続発生前に経済産業大臣の認定をうけることが必要となります。

例外規定

法の施行後間もないことや、年齢的に事業承継計画を立てることが困難等の理由から、次のような場合には、経済産業大臣の確認は不要とする例外規定が設けられています。

平成20年10月1日から平成22年3月31日までの相続
代表者が被相続人の親族であり、被相続人が60歳未満で死亡した場合
代表者が被相続人の親族であり、かつ、死亡の直前において役員であった場合において、死亡直前において、その代表者が所有していた株式と公正証書遺言により取得した株式等の合計が議決権の50%超となる場合

(3)経営承継相続人の要件

後継者であり、かつ役員に就任していること
同族株主で過半数の議決権を有すること
同族株主の中で筆頭株主であること等

(4)被相続人の要件

会社を経営していたこと
同族株主で過半数の議決権を有すること
同族株主の中で筆頭株主であること等

 

3猶予税額の計算

(1)対象となる株式数

対象となる株式数議決権株式数の3分の2に達する株式数までとなっています。 さらに、この3分の2については、従来から事業承継相続人が所有している株式数を合わせて3分の2とされています。

相続財産 300株(発行済株式数300株)の場合
          300 × 2/3 = 200株  対象株式数
相続財産 250株(発行済株式数300で残りは後継者が所有)の場合
          300 × 2/3 = 200株ただし、後継者が50株所有しているため、
200 - 50 = 150 >250 150株  対象株式数

(2)納税猶予額の計算方法

納税猶予の適用を受ける相続人と適用を受けない相続人で、計算方法が異なるため、納税猶予額については、次のような過程で計算されます。

納税猶予の適用が無いものとして通常の相続税の計算を行う
(経営承継相続人以外の相続税額)
経営承継相続人が、特例適用株式(100%)のみを相続した場合の相続税の計算を行う
(その他の相続人の取得財産は不変)
経営承継相続人が、特例適用株式(20%)のみを相続した場合の相続税の計算を行う
(その他の相続人の取得財産が不変)
経営承継相続人のの相続税の差額が納税猶予額となる

具体例

条件 相続人はA、B(ともに子ども)の2名
相続財産は、A(現金2億円、株式3億円)、B(現金5億円)の合計10億円とする
株式3億円は、発行済み株式の全部である。よって特例適用株式は2億円

 

 

通常の相続税の計算
1,000,000千円 -(50,000千円 + 10,000千円 × 2)= 930,000千円930,000千円 ÷ 2 = 465,000千円465,000千円 × 50% - 47,000千円 = 185,500千円(Bの相続税額)
Aが特例適用株式のみを相続した場合
相続財産の合計はA(2億円)、B(5億円)の合計7億円となる。
700,000千円 -(50,000千円 + 10,000千円 × 2)= 630,000千円630,000千円 ÷ 2 = 315,000千円315,000千円 × 50% - 47,000千円 = 110,500千円110,500千円 × 2 = 221,000千円221,000千円 ×(2億円/7億円)= 63,142千円 ……
Aが特例株式の20%のみを相続した場合
相続財産の合計はA(4,000万円)、B(5億円)の合計5億4千万円となる。
540,000千円 -(50,000千円 + 10,000千円 × 2)= 470,000千円470,000千円 ÷ 2 = 235,000千円235,000千円 × 40% - 17,000千円 = 77,000千円77,000千円 × 2 = 154,000千円154,000千円 ×(0.4億円/5.4億円)= 11,407千円 ……
納税猶予額の計算
=51,735千円(納税猶予額)
結果としてAは185,500千円 - 51,735千円 = 133,765千円Bは185,500千円が、申告時に納める相続税額となる
4納税猶予額の免除と納付

(1)猶予額の免除

次のような場合には、相続税の申告時に納税が猶予された税額の納税は免除されます。

経営承継相続人が、特例適用株式等を死亡の時まで保有し続けた場合
相続税の申告期限から5年経過後で、特例適用株式等を継続して所有しており、次のいずれかに該当する場合
対象の会社について、破産手続開始の決定又は特別清算開始の命令があった場合には、猶予税額の全額を免除する( 参照)。
次の後継者へ特例適用株式等を贈与した場合で、後述する贈与税の納税猶予制度の適用を受ける場合には、猶予税額の全額を免除する。
同族関係者以外に、特例適用株式等を一括して譲渡した場合において、その譲渡対価又は時価のいずれか高い額が、猶予税額を下回る場合には、その差額分を免除する( 参照)。

過去5年間の経営承継相続人及び生計を一にする者に対して支払われた配当及び過大役員給与等に相当する額は免除しない。

(2)猶予額の全額納付

事業承継相続人が相続税の法定申告期限からの5年間で、代表者でなくなる等、事業を継続していないと認められる場合には、その時点で猶予税額の全額を納付することとされています。具体的には次の要件を満たす必要があります。

代表者であり続けること
雇用の8割以上を維持していること
納税猶予の対象となった株式を継続して保有していること

 

代表者であり続けること企業の継続を前提とした円滑な事業承継が目的となっているため、重要な要件といえますが、病気・けが等のやむを得ない理由等により代表者を続けることが困難になった場合や障害者手帳の交付を受けた場合等には、救済措置があると思われます。
雇用の8割以上を維持していること役員を除く「常時使用する従業員の数」が、当初の「常時使用する従業員の数」を下回ったかどうかで判定することとなります。この「常時使用する従業員の数」は、厚生年金保険、健康保険加入者の数をベースとして判断されることとなります。
納税猶予の対象となった株式を継続して保有していることこれについても、組織再編を行ったことにより、株式等を手放した場合でも、実質的に事業継続が行われている等の一定の要件を満たしていれば認定を継続できることとされる見込みです。

(3)猶予額の一部納付

相続税の法定申告期限から5年を経過した後に、納税猶予の対象となった株式等の譲渡等を行なった場合には、その納税猶予の対象となった株式等の総数に対する譲渡した株式等の割合に応じて、猶予税額を納付することとなります。 結果として、法定申告期限から5年以内の譲渡については、その割合に関わらず猶予税額の全額を納付し、5年を越えた場合には、譲渡割合に応じて納付します。

(4)利子税の納付と担保提供

上記(2)(3)のように、納税猶予額の全額または一部の納付があった場合には、併せて利子税を納付します。 相続税は、本来、法定申告期限までに納付しなければなりませんが、特例として納税猶予の規定が設けられています。しかし、上記に挙げたような理由によって猶予税額の全部または一部の納付が必要となった場合には、本来の支払期日からの利子に相当する利子税を納付することとなります。 また、納税猶予の対象となった株式等については、その全てを担保に供することとなります。

(5)適用後の税務署長への届出

納税猶予制度の適用を受けた場合には、経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)については、毎年1回、その後は3年ごとに税務署へ届出を行う必要があります。

5他規定との併用等

(1)遡及適用

この規定は、平成20年10月1日以後に開始した相続について適用されます。

(2)申告期限の特例

平成20年10月1日から平成21年3月31日までに開始した相続で、被相続人の遺産に、その被相続人が代表者であった会社の株式等が含まれている場合には、その申告期限が、平成22年2月1日まで延長されます。

(3)他規定との調整

小規模宅地等の特例との併用相続税の納税猶予の適用を受ける場合でも、小規模宅地等の特例との併用を認めることとなりました。
10%減額特例の廃止10%の減額特例は、平成21年3月31日をもって廃止されます。なお、同日までに、この規定により贈与を受けた株式等については、(イ)10%減額特例を適用する。(ロ)要件を満たしている場合には納税猶予制度を適用する。のいずれかを選択できるようになっています。
特定同族株式等に係る相続時清算課税制度の廃止特定同族株式等に係る相続時清算課税制度の特例についても、次の贈与税の納税猶予制度の創設に伴い廃止されます。これにつきましても、一定の要件を満たしている場合には、納税猶予制度の適用を受けうることが出来ると思われます。

Ⅵ 経営承継円滑化法 ~贈与税の納税猶予制度の活用

1制度の概要

後継者が、経営承継円滑化法に基づく経済産業大臣の認定を受けた非上場会社を経営していた親族から、贈与によりその保有株式の全部を取得し、その会社を経営する場合には、その猶予対象株式等に係る贈与税の納税を猶予する規定が設けられました。 この規定は、平成21年4月1日以降の贈与から適用されます。

2具体的要件

(1)対象となる株式等

贈与前から既に所有していたものを含めて、発行済み議決権株式の総数の3分の2に達するまでの部分の株式が贈与税の納税猶予の対象となります。

(2)適用を受けるための要件

先代経営者の要件



会社の代表者であったこと
役員を退任すること
同族関係者と合わせて、議決権総数の50%超を保有し、かつ、同族内で筆頭株主であったこと

後継者の要件




会社の代表者であること
先代経営者の親族(6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族)であること
20歳以上、かつ、役員就任から3年以上経過していること
同族関係者と合わせて、議決権総数の50%超を保有し、かつ、同族内で筆頭株主となること

贈与に関する要件


先代経営者が所有している株式の全部を一括で贈与すること
3分の2を超える部分については、通常の贈与(相続時精算課税との併用も可能)として取り扱うこと

その他、贈与税の納税猶予に関して、次のような規定が設けられています。



贈与後、5年間の事業継続要件がある
経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)については毎年1回、その後は3年ごとに税務署長への届出が必要となる
贈与税額の免除・一括納付については、相続税の納税猶予の要件と同様

 

3相続税の納税猶予との関係

(1)相続税の納税猶予との関係

贈与税の納税猶予の適用を受けた後に、先代経営者に相続が発生した場合には、次のように取り扱われます。





先代経営者が死亡した時点で、猶予税額は免除される
贈与を受けた特定株式等については、相続財産に含めて相続税を計算する
その際の評価額については、相続時の評価額ではなく、贈与時の評価額とする
で計算した相続税額については、相続税の納税猶予制度の適用を受けることが出来る
5年間の事業継続要件は、贈与時から発生していることとなる

(2)相続後の確認

贈与税の納税猶予を受けた経営承継相続人が、先代経営者の死亡に伴い、相続税の納税猶予制度の適用を受けようとする場合には、経済産業大臣の確認を受ける必要があります。    

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