不動産を活用した節税対策④

Ⅰ.不良資産損切りで節税

1  値下がりした資産は子会社に売却する

現行の税法では、資産の帳簿価額はその資産を購入したときの価額にしなければならないという『取得原価主義』をとっています。

つまり、資産の評価損を計上しても、その評価損は損金に計上することは出来ないのです。
法人の中には、バブル期の好況時に購入した土地やゴルフ会員権等の資産で、極端に値下がりした資産を所有しているケースをよくみかけます。

それらの資産の所有を継続し、しかも節税対策に活用したい場合には、それらの資産の子会社への売却をお勧めします。この場合、親会社の方には売却損が計上でき、かつ所有権は子会社に移るだけで所有を続けることが出来るのです。
また、上記資産の維持費等がなくなり、コストダウンも同時に図ることができます。

ゴルフ会員権の売却損は、損金の計上が認められています。したがって、値下がりがひどく、今後プレーする機会もあまりないような会員権であれば、年内に売却してしまえば、売却損を立てることにより損金を計上することが出来ます。
たとえば利益が500万円黒字の場合、会員権の売却により500万円の損をしたとすれば、その年の利益はゼロになります。ただし会員権の損失の控除が認められるのは、あくまで「売却損」に限定されています。
したがって既に倒産してしまい、売ることすら出来ないような不良クラブの「評価損」は控除の対象にならないため、注意が必要です。

棚卸資産についても、災害による著しい損傷や著しい陳腐化等の特別な場合を除き、評価損の計上は認められません。

そこで、値下がりした棚卸資産を所有している法人は、販売子会社に対してその資産を売却して売却損を計上することにより、上記と同様に損金を計上することが出来ます。

≪ 例 ≫

(1) 遊休状態の不動産
(2) ほとんど利用していないゴルフ会員権
(3) 株価が下落して回復の見通しの立たない株式
(4) 不要ではないが、関連会社や役員等へ売却できる不動産
(5) 余分な営業車、機械、備品等で処分可能なもの

 

Ⅱ.遊休地の有効活用による節税

1  アパート建築による収入確保と節税効果

遊休地は、ただ保有しているだけでは、なんら収益を生み出さず、固定資産税等の保有コストだけが生じてしまいます。

アパートを経営することにより、家賃収入を得て安定収入を確保することができます。また、アパート経営による節税メリットには以下のようなものがあります。

アパート経営による節税メリット
居住用の土地については、固定資産税評価額が減額される。
不動産所得がマイナスになる場合には、給与所得等の他所得から差し引くことができるため、所得税の軽減ができる。(「損益通算」といいます。)

 

2  損益通算による税効果

遊休地にアパートを建築した場合には、減価償却費などの影響から通常は建築後5年くらいは不動産所得がマイナスとなる可能性があります。この場合、損益通算により所得税の課税所得を減少させることができ、アパートの建築前より所得税を下げることができます。
また、平成4年以降の不動産所得については、土地の購入に係る借入金の利子が損益通算の対象とならないため、土地建物を購入して損益通算することは難しくなりました。しかし、すでに土地を所有している人がその土地の上にアパートを建築する場合には、この制限を受けないため、所得税対策としてのアパート建築は有効な手段といえます。

3  アパート建築と資金繰りの留意点

減価償却費は、経費として計上することで所得を減少させる一方で、支出を伴わないため、結果的に資金が内部留保されます。したがって、仮に不動産所得がマイナスとなっても、その計算の中には支出のない減価償却費が含まれているため、資金収支上はプラスとなる場合もあるわけです。自己所有の土地の上にアパートを建築した場合には、建築コストや地域により差はありますが、初年度から資金収支がプラスとなることも珍しくありません。 

【例】 現在の所得 1,500万円
建築内容
建築価額 5,000万円(全額借入、金利4%、返済20年、元利均等)
家賃収入 年間500万円
建物部分 70%(定額法 耐用年数 22年)
付属設備 30%(定率法 耐用年数 15年)

 

 

Ⅲ.土地購入借入金利子の損金不算入対策

1  土地の購入に係る借入金の利子と損益通算

所得税の計算上、不動産所得が赤字の場合、赤字額を限度として土地の購入に係る借入金の利子は損益通算の対象となりません。特に、不動産所得の赤字の原因が、この借入金の利子による場合には損益通算のメリットを享受できなくなってしまいます。

2  所有不動産の法人への売却

この問題を解決する手段の一つとして、所有不動産の法人へ売却する方法があります。当該不動産を法人所有にすることで、土地の購入に係る借入金の利子の全額が法人の経費として計上することが可能となります。特に、多額の利益が出ており、資金繰りに余裕がある法人である場合には法人税を軽減させる有効な手段といえます。

一方で、資金繰りにそれほどの余裕がない法人の場合には、土地のみを売却し、個人は法人に対して「相当の地代」(その土地の相続税評価額の過去3年間の平均×6%)を支払う方法があります。もし、この法人へ支払う「相当の地代」の金額が当該土地に係る借入金の元利金合計と同じ金額であれば、個人の資金負担は変わりません。また、所得税の計算の際には地代家賃として経費計上されるので、損益通算が可能となります。

3  土地売却時の留意点

平成16年税制改正により不動産の売却損は通算することが出来なくなり、損が切り捨てられることになりました。同じ不動産の売却益との通算だけは可能ですから、他の含み益のある不動産をあわせて売却するなど検討の必要があります。

【例】 現在の所得 1,500万円
土地 1億円(全額借入)
建物 3,000 万円(本体70%、定額法 22年、付属設備 30%、定率法 15年)
土地・建物とも全額借入 4.0% 30年元利均等返済
家賃収入 600万  地代収入 570万

 

 

ケース1: 土地の購入に係る借入金利子が389.6万円あり、不動産所得の赤字額を超えてしまうので、241万円が切り捨てとなり、損益通算ができなくなってしまいます。
 
ケース2: 不動産所得はΔ421.3万円ですが、土地に対する金利がなく、この金額が損益通算の対象となり、ケース1に比べ資金的にも余裕が出てきます。
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