不動産を活用した節税対策⑥

Ⅰ.高増益決算時の税金対策

1  含み損のある資産の検討

思った以上に利益が上がった場合や、古くから持っていた土地を売却したため多くの譲渡益が出た場合等は、税金も多額になってしまいます。
この場合には、含み損のある資産がないか検討し、潜在している含み損の実現を図ることで節税が可能となります。

含み損のある資産の検討
棚卸資産や有価証券について評価損の計上が可能か
不要な固定資産の売却及び除却はできないか
不良債権の切捨ては可能か
業績不振の子会社の解散・清算について検討したか
2  損切りの具体例
(1) 資産の売却および除却
所有している不動産、上場株式、ゴルフ会員権および固定資産に含み損がある場合には不動産の売却先の検討をします。関連会社やオーナー自身への売却も考える必要があります。また、未使用資産の除却による損失計上ができないか検討します。
 
(2) 不良債権の切捨て
貸倒損失の計上が法律上できる更正計画の認可決定、再生計画認可決定等のほか、債務者の資産状況、支払能力からみて全額回収できないことが明らかになった場合において、その債務者に書面により債務免除したときは、貸倒損失として経理することができます。ただし、債権放棄しても回収の可能性がある場合には寄付金とみなされることになりますので注意してください。
 
(3) 子会社の整理
子会社株式等で価額が著しく低下し、価額の回復が見込まれない場合は評価損の計上が可能ですが、貸付金の回収も全く見込めないとき等は、子会社の整理を考えてください。子会社を清算することにより、子会社整理損、貸倒損失を計上することができます。
3  役員退職金の支給の検討

常勤役員から非常勤役員への変更や地位の変更後の報酬が概ね50%以上減少した場合などは、実質的に退職したものともなされ、退職金の支給が可能となります。

【例】 子会社の土地を売却して負債を整理します。

【土地売却および負債整理後】

この結果、親会社からの借入金20,500万円は返済不能となり、親会社では、貸倒損失として損金に算入できます。なお、親会社子会社という特殊関係の下では、「貸倒損失」ではなく「寄付金」ではないか、という問題が生じることもありますのでご注意ください。

Ⅱ.子会社の債務肩代わりと不動産譲渡

1  業績不振子会社に対する損失負担

経営努力にもかかわらず、子会社が業績不振に陥った場合、親会社が子会社のために一方的に損失を負担することは、経済的利益の無償供与として寄付金とみなされる可能性があります。親会社が子会社のために直接的に損失負担を行う際、寄付金として扱われないためには「相当の理由」が必要となります。子会社等の債務を肩代わりした場合の税務上のポイントは以下のように整理されます。

子会社等の債務を肩代わりした場合の税務上のポイント
(1) 一般的には寄付金として認定される
(2) 子会社支援損として損金に算入するためには下記の項目を総合的に検討することになる
子会社等に該当するか
子会社等は倒産の危機に陥っているか
親会社が損失負担等を行うことに相当の理由はあるか
支援額は合理的であるか
整理・再建管理はなされているか
支援者の範囲は相当であるか
負担額の割合は合理的であるか
2  債務超過子会社に対する利息計上の停止

支援のために貸付を行ってきたが債務超過状態が相当期間続いており事業好転の見通しがない、回収が危ぶまれるような状況下では、親会社側では未収利息の計上を行わず、子会社側で支払利息の未払計上を行わないことが認められます。なお、この場合でも親会社は、利息債権を放棄したことにはなりませんので、将来子会社の業績が回復して利息を支払ったときには、親会社は支払を受けた事業年度に収益計上することになります。

3  無償または定額の不動産賃貸

子会社等の倒産を防止するための緊急の貸付のケースから類推して、親会社が自己の所有する不動産を業績不振の子会社に賃貸するにあたって、敷金や権利金の支払を免除したり、賃料を無償または低額に設定した場合でも、それが当該子会社の倒産を回避し、親会社の社会的信用を確保するために必要な行為である限りは、寄付金として取り扱われない余地があると思われます。

4  業績不振子会社からの不動産の買取り

業績不振の子会社において不動産を所有している場合には借入金の返済等に充てるため、不動産の売却を検討するケースも多いと思われます。土地重課もなくなり、譲渡益が子会社の繰越損失の範囲内ならば課税にならないわけです。

ただし、留保金課税となるケースがあるので事前にご確認ください。

 

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