法人編 利益の繰り延べで節税する①

Ⅰ.生命保険契約に加入する

1 生命保険で節税

会社契約の生命保険契約を活用すると、契約内容により支払った保険料が全額費用にできるもの、二分の一等を費用にできるものがあります。商品の多くは貯蓄性に優れたものがあり、法人税を引き下げながら保証と積み立てをすることができます。このような生命保険を使い、節税をしながら万が一や内部留保をしたいという方にはお勧めです。

具体的には、企業経営の3つのリスクに対応できます。

(1)企業のリスク

【経営者の死亡】

社長に何かがあった場合、会社の存続はどうなるでしょう。後継者を承継したとしても金融機関や取引先は、不安を感じざるをえません。また、事業の承継に伴う相続税を納付する資金を確保しなければなりません。このため当座の資金として生命保険の活用が必要です。

役員退職金の資金確保のため
相続税の納税資金の確保のため
事業運転資金及び借入返済資金の確保

【労務・退職金のリスク】

優秀な従業員を確保するためにも退職金の支給原資をしっかりしておき、職員の不慮の事故等に対しての備えをし、安心して働ける職場環境を醸成できます。

長期定期保険の活用により、内部利益の留保による退職金資金の準備
職員へ保険を加入させることにより、手厚い保障の確保

【財務基盤のリスク】

業績が好調な企業でも経営環境の悪化やトラブルにより、一瞬の内に経営が悪化することがあります。企業は経営リスクに備えるため財務内容を強化するため内部利益の確保が必要です。内部利益の留保は、毎期の利益から納税をした後蓄積されます。効率よく確保する方法として長期定期保険のような費用性と貯蓄性を供えた保険の活用が必要です。
2 生命保険の活用ポイント

生命保険の商品は多種多様になっていますが、基本は3つのパターンになっています。

保険の基本 特  徴 具体的な保険
死亡保険 保障重視型 定期保険・終身保険・定期付終身保険
生存保険 貯蓄重視型 個人年金保険・貯蓄保険
生死混合保険 ミックス型 養老保険・定期付養老保険

法人が保険に加入する場合次の点に注意する必要があります。

保険加入の目的により商品を選定する
  節税目的か、職員の保障目的か、退職金準備か、により商品の選定がわります
契約者、被保険者、受取人の選択
  契約者、被保険者、受取人の名義により保険料の経理処理方法が変わります。
解約返戻金額の確認
  利益の内部留保目的、節税目的、退職資金準備目的の場合、解約返戻金額が重要です。

尚、支払保険料を経費処理する場合は、定期保険が有効です。

3 定期保険の会計処理

生命保険の種類は、3つのパターンに区分されますが、その内保障や節税対策として活用されるのが多い保険は定期保険です。

定期保険は、基本的に掛け捨てで満期保険金がないです。ただし、定期保険でも保険期間が長い長期平準定期保険や、保険期間の経過に伴って保険金額が増加していく逓増定期保険のように、保険期間の途中で解約すると多額の解約返戻金が生じるものがあります。このため税務上は、同じ定期保険であってもその内容により区分して取り扱います。

(1)定期保険
定期保険は、他の保険と比較し保険料が安く保障が保険で、保険期間中に被保険者が死亡した場合のみに保険金額が支払われます。また、保険契約期間は、1年以上10年以内の契約 が主になり、契約満了後も契約は継続できますが、その時の契約年齢による保険料が 新たな保険料になります。このため保険料は全額保険料として経費処理できます。

借方 貸方
保険料  ×××
現金及び預金 ×××

(2)長期平準定期保険
長期平準定期保険は、保険期間満了の時における被保険契約者の年齢が70歳を超え、かつ、その保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超える定期保険をいいます。
長期平準定期保険は、保険期間が極めて長いため一般の定期保険と違い、各年の保険料が平準化されているため、保険期間の前半に支払う保険料の中に相当多額の前払保険料が含まれている。このため税務上ではその前払保険料分を資産計上する。

借方 貸方
保険料  ××× 現金及び預金 ×××
前払金  ×××

【長期平準定期保険と定期保険の区分例)長期平準定期保険】

80歳満期の定期保険の場合

契約年齢が50歳の場合 
  50+(80-50)×2= 110 > 105     長期平準定期保険
 
契約年齢が56歳の場合
56+(80-56)×2= 104 < 105      定期保険

 

Ⅱ.従業員を生命保険に加入させる

1 従業員を生命保険(福利厚生)に加入させる

従業員を被保険者とする生命保険に加入することで、従業員に傷害が発生した場合や死亡の場合に対応できるようにします。それだけでなく、職員の退職金の原資として、契約内容を吟味し、保険料が経費に計上できて、かつ、解約返戻金が発生する保険に加入することで資金手当てができるようになります。ただし、傷害及び死亡事故が発生した場合の保険金は従業員又は遺族に支払われます。

【保険料の会計処理事例】

長期平準定期保険に加入している場合
会社は被保険者を従業員、保険金受取人を法人とする生命保険に加入している。加入保険内容

経理課長 契約日年齢 45歳
保険期間 50年
保険料 月 120,000円
保険金 8,000万円

保険料の経理処理判断

保険期間満了時の年齢が70歳超か  
  契約年齢 45歳 + 保険期間 50年= 95歳 > 70歳 ・・・該当
(加入時の被保険者の年齢 + 保険期間 × 2 ) > 105 超か
  45歳+50年×2= 145 > 105 ・・・該当

この保険契約は長期平準定期保険に該当し、保険期間の開始から保険期間の60%に相当する期間は支払保険料の1/2を前払保険料として資産計上する。

保険料支払仕訳

(前払保険料) 60,000円 / (現金預金)720,000
(保険料) 60,000円 / (現金預金)720,000

 

Ⅲ.中退共に加入する

1 中退共に加入する

従業員の退職金は中小企業しか加入できない「中小企業退職共済」に加入すれば、毎月の掛け金の全額を費用とすることができ節税になります。

これは、独立行政法人「勤労者退職金共済機構」」「中小企業退職金共済事業本部」が運営する共済制度で、会社は役員を除く全従業員を加入させることができます。従業員が退職するときには、ここから退職金が支払われます。

【中小企業退職共済加入の注意点】

職員退職時の退職金は、原則的に退職者本人へ支給される。
 
退職共済の退職金は、加入保険料と加入期間により決まるため、退職規定の金額との差額を別途支給する必要が生じる。
 
役員は、この制度に加入できない。
2 中退共制度の仕組み

中小企業退職金共済制度(中退共制度)は、昭和34年に国の中小企業対策の一環として制定された「中小企業退職金共済法」に基づき設けられた制度です。この制度の運営は、中小企業退職金共済法に基づき設立された独立行政法人勤労者退職金共済機構(機構)中小企業退職金共済事業本部(中退共)がおこなっています。

(1)制度の仕組み
中退共制度は、法律で定められた社外積み立て型の退職金制度です。

事業主が機構・中退共と退職金共済契約を結びます。
毎月の掛金を金融機関に納付します。掛金は全額事業主負担です。
従業員が退職したときは、その従業員の請求に基づいて機構、中退共から退職金が直接支払われます。

(2)加入条件
加入条件は業種により異なります。加入できる企業 中退共制度に加入できるのは、次の企業です。ただし、個人企業や公益法人の場合は、常用従業員数によります。

一般業種(製造・建設業等) 卸売業
常用従業員数 300人以下
または
資本金・出資金 3億円以下
常用従業員数 100人以下
または
資本金・出資金 1億円以下
サービス業 小売業
常用従業員数 100人以下
または
資本金・出資金 5千万円以下
常用従業員数 50人以下
または
資本金・出資金 5千万円以下

常用従業員とは、1週間の所定労働時間が同じ企業に雇用される通常の従業員とおおむね同等である者であって、次に該当する従業員です。
雇用期間の定めのない従業員、
雇用期間が2ヶ月を超えて雇用される従業員も含まれます。

(3)加入対象となる従業員
従業員は原則として全員加入させてください。 ただし、定年などで短期間内に退職することが明らかな従業員や、期間を定めて雇われている従業員等は加入させなくてもよいことになっています。

 

Ⅳ.中小企業倒産防止共済に加入する

1 中小企業倒産防止共済に加入する

事業を行っていると得意先が倒産してしまったり、取引先から受け取った手形が不渡りとなってしまい、お金が入ってこなくなくとも、割り引いた手形、裏書した手形代金を支払わなくてはなりません。

結果として、資金繰りが大変苦しくなりますし、資金繰りに窮すると連鎖倒産にもなりかねません。
そのような時に保証人も担保がなくとも資金の貸付をしてくれる制度が「中小企業倒産防止共済制度」です。
さらに、無利息で掛金の総額の10倍までの額を貸し付けてくれますし、返済方法は、5年間の均等返済となっています。
掛け金は、毎月5,000円から80,000円までで、40カ月以上掛け続けると解約しても掛金の全額が戻ってきます。それでいながら、支払った時は、その全額が費用になり節税になります。

「中小企業倒産防止共済制度」の加入資格

引き続き1年以上事業を行っている以下の中小企業者

 従業員300人以下又は資本金3億円以下の製造業、建設業、運輸業その他の業種の法人・個人
 従業員100人以下又は資本金1億円以下の卸売業の法人・個人
 従業員50人以下又は資本金5,000万円以下の小売業の法人・個人
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